アンモナイト修復は必要か?否か?
過去にも触れてますが、最近また新たな意見を聞く機会があったので整理してみます。
アンモナイトの修復の定義
修復には大きく分けて2種類あると私は捉えています。
①いわゆる個体と同質の地層から採れた母岩や砂を使用した修復
②販売個体とは全く別の個体を使用したいわゆるキメラ個体と言われる修復
①について、こちらは大半の化石好きは許容してくれるでしょう。一方、②についてはかなり反対意見も根強い現実があります。
ただし、例外もあるのだなと最近自分の考えを覆される修復の認識を耳にする機会が増えました。
へそ周りについて、へそが穴が開いたままよりは母岩を再利用して修復もしくは別の小さな個体を埋め込んでも見栄えがよい方がよいといった意見です。
この点について、私は肯定も否定もしていないものの、一定の逆風があるだろうと予想していたのです。
この前提が変わるきっかけは、巨大個体とチュレア産のリトセラスの存在でした。

私は修復個体には自分が知っている範囲で修復履歴の有無を記載しています。それにも関わらず、修復ありでもオークションでも高額落札が連続したのです。
つまり、私の修復ありの個体は需要は少ないとの認識は誤りだったのです。
修復の定義の両方とも許容されるならそれは最大限活用すべきと今は考えています。
ただ、上述のとおり、販売する側は修復の履歴について知りうる範囲の情報は購入者に全て開示すべきとの私の中での認識はこれまでも今後も変わることはないでしょう。
修復の方法
私は修復の専門家ではないため、あくまで簡易な修復作業のみを行っています。
マダガスカル人現地人のようにへそをくり抜いて別個体を埋め込むような能力は持ち合わせていません。
ただ、それでも輸送中の破損による穴を塞ぐくらいは私がやるべきと思い、最近は最低限の修復は経験を積んでいくようにしています。
具体的には、同じ地層から採れる個体に付着する母岩を砕いて目立たないように修復しています。この際にも出品時には必ずその修復については言及するようにしています。
実際には穴にダイソー等で販売されているゼリー状の瞬間接着剤を流し込み、そこに母岩を砕いた似た色合いの砂状の粉をかけて埋めていくようにしています。
黒アンモナイトの修復等にはまだまだ経験が足りないので今後修行が必要です。

修復なしでは市場流通できない個体
中にはマダガスカル人が修復歴の有無を告げない種もあります。
一番典型的な個体は、巨大なクラノスフィンクテスや異常巻きといった類です。

修復個体を受け入れないとなれば、そもそも市場流通自体が困難になる種もあるのです。
私も異常巻きについて、大量に入荷したものの、この修復歴等がネットとなり販売は順調には進んでいません。
クラノスフィンクテスは、修復履歴について正直に周知したうえで販売を昨年行いました。
これらの個体は、修復を受け入れるか巨額を支払い完全体を入手するか賛否わかれるでしょう。

修復の是非
結局のところ、自分の信念なり価値観を他者に至上のものとして強要することはできないでしょう。
最近知り合ってやりとりさせていただいた方は、修復を許容して見栄えある個体に付加価値を与えて販売しているとのことでした。
買う方も売る方も納得して、必要なことを相手に伝えているのであれば他者がそこに口を挟む余地はないように感じます。
それでも中には、キメラ個体の作ること自体が化石に対する冒涜であるといった意見をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
おそらくこの価値観の是非はなかなか交わったり、相互理解に辿り着けないのでしょう。
それでも優劣をつけることや完全否定するのではなく、修復技術や異なる価値観をもつ人と意見交換を行うことは大切だと私は考えています。
